地中熱利用システムの長所
- 日本中どこでも、いつでも利用できます。
- 節電、省エネとCO2 排出量抑制ができます。
- 通常のエアコン(空気熱源ヒートポンプ)が利用できない外気温 -15℃以下の環境でも利用できます。
- 地中熱交換器は密閉式なので,環境汚染の心配がありません。
- 冷暖房に熱を屋外に放出しないため、ヒートアイランド現象の緩和に寄与します。
図1 青森県の公共施設(石上ほか、2010)
図2 東京都心のオフィスビル(笹田、2010)
地中を熱源とするヒートポンプシステムでは、地中と外気との温度差が利用できるために、たいへん効率的な運転ができます。その結果、大きな節電効果とCO2削減効果をもたらします。省エネ対策及び地球温暖化対策に、地中熱ヒートポンプシステムの導入は極めて効果的です。
図1には建物の冷暖房のほか歩道の融雪に地中熱を利用している青森県弘前市の施設で、地中熱と従来型のエネルギー利用を比較したときの、一次エネルギー消費量とCO2発生量を示しています。ここではエネルギー消費量は在来システムとの比較で、46%減となっており、またCO2発生量は50%減となっています。
図2には東京都心のオフィスビルで、空調システムを空気熱ヒートポンプ(通常のエアコン)から地中熱ヒートポンプに更新したケースを示しています。空気熱と地中熱の電力消費量の実績を比較すると、年間で49%の節電・省エネとなっており、とくに夏季の節電・省エネ効果が大きいことがわかります。
環境保全の面で地中熱ヒートポンプのもつもうひとつの優れた点は、夏季の冷房排熱を大気中に放出せず地中に吸収させることによるヒートアイランド現象の抑制効果です。なお、地中熱の利用では、夏季には地中に放熱されますが、温熱を利用する冬季にはその地中から採熱しますので、適切な設計と運転により、年間通してみると地中での熱収支バランスがとれます。