地中熱利用促進協会

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Geo-Heat Promotion Association of Japan

地中熱利用の概要

地中熱利用形態

地中熱利用形態

地中熱ヒートポンプシステム【クローズドループ】

地中から熱を取り出すために地中熱交換器内に流体を循環させ、汲み上げた熱をヒートポンプで必要な温度領域の熱に変換するシステムで、このシステムでは効率的に冷暖房および給湯を行うことができます。地中熱交換器内を循環させる流体には、通常は不凍液または水を用いますが、冷媒を用いる方式も開発が行われています。

地中熱交換器には、垂直型、水平型、傾斜型があり、垂直型のものには掘削孔を利用するボアホール方式と杭(基礎杭・採熱専用杭)を利用する杭方式とがあります。通常はUチューブと呼ばれる採放熱管が挿入されますが、杭方式では内部にはった水の循環で熱交換するタイプのものもあります。水平型はわが国ではまだ普及が進んでいませんが、米国ではスリンキーと呼ばれるループ状の採放熱管を用いる方式が普及しています。

このクローズドループによる地中熱ヒートポンプシステムは、メンテナンスがほとんど必要ないため適用範囲が広く、住宅・建築物・プール・融雪に適用されています。

 

地中熱ヒートポンプシステム【オープンループ】

揚水した地下水の熱を地表にあるヒートポンプで取り出す方式です。ヒートポンプで熱交換した後の地下水の扱い方についてはいくつかの方法があり、同じ帯水層に戻す方法のほか、別の帯水層に注入する方法、地下に戻さず地表で放流する方法等があります。このシステムはクローズドループと比べ、ボアホール1本あたりの採熱量が大きくなることから、経済性に優れていますが、井戸内においてで目詰まりが生じることがあるため、システムのメンテナンスが必要です。このシステムは、これまで比較的規模の大きな施設に適用されています。なお、地下水利用に揚水規制がかかっている地域では、この方法の適用は難しいといえます。この方法は地下水熱利用ヒートポンプシステムあるいは地下水利用型ヒートポンプシステムと呼ばれることもあります。

 

地中熱利用形態

熱伝導

熱伝導による地中熱の利用は、縄文時代の竪穴式住居にその原型をみることができ、アイヌのチセと呼ばれる住居も同様の原理で地中熱を利用しています。この地中熱の利用方法は現代においても住宅・建築物に適用されており、床が直接地面と接する土間床工法を基本にして、いくつかのバリエーションがあります。

 

空気循環

空気を地中に通して地盤との間で熱交換するシステムで、住宅・建築物の換気システムの一環として、地中熱を利用しています。このシステムでは、空気を循環させるパイプを地中に垂直に埋設したり、あるいは空気を通すチューブを水平に埋めたりして熱交換を行います。このシステムで夏は冷風、冬は温風を得ることができます。

 

水循環

地中と地表とをパイプで結ぶ単純な水循環システム、あるいは地下水をパイプに通し循環させるシステムで、わが国では主に融雪に用いられています。ポンプによる水の循環が閉じた系で行われるクローズドループのタイプと、汲み上げた地下水を熱利用した後、地中に戻すオープンループの2つのタイプがあります。また、融雪以外の利用の仕方として、地下水を室内のパネルに循環させ、放射冷房を行うシステムもあります。

 

ヒートパイプ

ヒートパイプは、冷媒の蒸発と凝縮で熱を搬送するシステムで、全く動力を必要としません。冬に地中の温度が地表に比べて高いと、地中での熱交換でヒートパイプ内部の冷媒が蒸発し、軽い気体となった冷媒は地表に向かって管内を移動します。温度の低い地表環境では、冷媒は周辺に熱を与えることにより凝縮し、この凝縮した冷媒は重力により管内を下降します。ヒートパイプでの熱の搬送はこの繰り返しで行われ、融雪に利用されています。