地中に熱を捨てる(排熱)だけというシステムは少なく、通常は冬季に地中から採熱し、夏季に地中へ排熱することで、年間を通しての熱収支バランスをとるようにしていますので、長期的に地中の温度が上昇する心配はありません。温暖な地域で、夏季の排熱量が冬季の採熱量を上回る場合には、夏季でも給湯も行うなどして、熱収支をバランスさせる工夫が行われています。
環境省は「地中熱の利用にあたってのガイドライン」の中で、環境影響について次のように述べています。「地中熱利用ヒートポンプは北欧などの海外で多数の実績があり、これまで地中への排熱などによる大きな環境影響や事故などの報告例はなく、ほぼ安全に使用できています。しかし、今後、国内の市街地が高度に密集している地域での普及や、商業ビル・再開発区域における大規模な地中熱利用が進むと、狭い範囲に地中への熱負荷が集中する可能性があります。このため大規模に施設を設置し地中熱利用を図る地域、また、小規模でも高い密度で設置される地域については、地中の熱環境の変化や近隣の地下水・地中熱利用への影響に適切に配慮することが求められます。」
http://www.env.go.jp/water/jiban/gl-gh201203/index.html